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OLAP分析とはオンライン分析処理のことで、BIツールの機能の一つです。ある問題点についてその結果に至った要因がどこにあるかを調査するなど、複雑な分析を素早く行うことができます。

OLAP分析を行うことで、たとえば営業部門なら部署ごとの営業成績を分析するほか、支店別、個人別なども分析でき、目標に対する進捗把握ができます。またマーケティング部門なら、市場分析やマーケティング施策ごとの目標に対する進捗状況の把握といった活用方法が考えられます。

本コラムでは、OLAP分析の基本的な知識をまとめてご紹介いたします。

1.OLAP分析とは

OLAP(オーラップ)分析とは、Online Analytical Processingの頭文字を取ったもので、日本語では「オンライン分析処理」と訳されます。

データベースに蓄積された膨大なデータを対象に複雑な集計や分析を行ユーザーが求める結果を素早く返してくれるため、リアルタイムにデータ分析が行える点がメリットです。一般的に「オンライン」というとネットワークにつながっている状態を指しますが、OLAP分析の「オンライン」はリアルタイムに処理を行うことを意味します。

OLAP分析の特徴は、複数の軸を含む多次元データモデルを取り扱うことが可能な点です。たとえば、売上データの販売日時・販売店舗・商品・購入者の性別といった複数次元を含むデータベースの処理を高速で行ってレスポンスを返してくれます。

1.OLAPの解析手法

OLAPのおもな解析手法に、スライシング、ダイシング、ドリルがあります。

スライシング

多次元データベース(キューブ)をある断面で切り取り、二次元の表の形式にして解析する手法です。

ダイシング

多次元データベース(キューブ)をサイコロのように転がすイメージで、縦軸と横軸を自由に指定し観点を切り替えて解析する手法です。

ドリル

ドリルには、ドリルダウンとドリルスルーがあります。
ドリルダウンは、集計結果を掘り下げる解析手法です。集計結果の内訳を細かくみていきます。
ドリルスルーは、ドリルダウンと似ていますが集計結果ではなく元データの内訳を参照する点で異なります。

2.OLAPの実装方式

OLAPの実装方式には、MOLAP、ROLAP、HOLAPの3種類があります。

MOLAP

MOLAPとは、Multi dimensional OLAPのことで、データベースのデータをバッチ処理※であらかじめ計算しておき、集計値データを多次元データベース(キューブ)として格納しておく方式を取ります。このためユーザーの操作に対する結果のレスポンスが早いのはメリットですが、あらかじめ計算しておくためリアルタイム性が劣る点がデメリットです。また、活用には多次元データベースの知識が求められます。

※バッチ処理…一定量(もしくは一定期間)のデータをまとめて一括処理する方法。

ROLAP

ROLAPとは、Relational OLAPのことで、リレーショナルデータベースに格納されたデータからユーザーの操作要求のたびに検索・集計して、結果を擬似的な多次元データベース(キューブ)として参照・利用する方式を取ります。都度、検索・集計を行うためMOLAPに比べるとレスポンスは劣りますが、リアルタイムにデータを分析でき、従来からあるリレーショナルデータベースの知識だけで活用できます。

HOLAP

HOLAPとは、Hybrid OLAPのことでMOLAPとROLAPの両方の特徴を備えた方式です。元データはリレーショナルデータベースに、集計値データは多次元データベースに保持されます。集計値データのみが必要となる要求にはスピーディにレスポンスでき、元データが必要となる要求にも最新のデータを元にした回答を返すことができます。

2.OLAPとOLTPの違い

OLTP(オーエルティーピー)とは、On Line Transaction Processingの頭文字を取ったもので日本語では「オンライントランザクション処理」と訳されます。

OLAPもOLTPも、データ処理を行う仕組みおよびソフトウェアを指すという点では共通しています。異なるのはOLTPでは「トランザクション」という単位で処理されるという点です。ここでの「トランザクション」とは、分けることのできない一連の情報処理の単位を意味します。

OLTPは小さいサイズのデータが高頻度で大量に発生する際の処理に向いており、ECサイトや金融機関のATMでの入出金、オンラインゲーム、チケット予約といったサービスで採用されています。

イトや金融機関のATMでの入出金、オンラインゲーム、チケット予約といったサービスで採用されています。

一方、OLAPはこうした処理には向きません。大量のデータをリアルタイムに分析したいという時に向いています。

3.OLAPとDWH

DWH(データウェアハウス)とは、Data Warehouseの頭文字を取ったもので直訳すると「データの倉庫」です。

基幹システムや業務システムなど複数システムからデータをすべて集めた大規模なデータベースで、データを時系列・内容(サブジェクト)別に保存できます。

DWHに蓄積された膨大なデータを分析する際には、OLAP分析が活用されます。

4.OLAP分析を行うには

OLAP分析を行う際はBIツールを用います。
BIツールとは、社内のさまざまなシステムに蓄積した膨大なデータを一ヵ所に集約して一元管理し可視化してくれるソフトウェアです。BIツールがあればデータベースに関する知見を持たない人にも手軽にデータを扱えるようになります。

OLAP分析は、BIツールでは多次元分析機能ともよばれます。BIツールには他に、ダッシュボード機能やレポーティング機能、データマイニング機能などがあります。

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5.まとめ

BIツールを用いればデータベースやデータ分析に関する専門知識がなくてもデータの集積や分析が簡単に行えるので、正直なところここで説明したようなOLAPの細かい種類、OLTPとの違いなどを理解する必要はありません。

ただ、BIツールを運用するなかで課題が出てきた際に上記のような知識があると、解決に必要な要素が見えてきますのでOLAPに関する概要は把握しておくことをおすすめいたします。ぜひ、より良いデータ分析にお役立てください。

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